本『会議でスマートに見せる100の方法』

仕事には会議がつきものであり、また役職が上がるにつれて会議というのは増えていくものである。

もちろん本当に重要な会議もあるだろう。 何かを決める会議はその傾向が高い。

一方で、共有したい連絡をただ流すだけの会議も存在するのも事実である。 全体の向く方向を一緒にしたいという意図もあるかもしれないが、そういった会議はときとして、時間の無駄なんじゃないかと思ってしまうことを否めない。

メールやチャットツールなどで連絡事項をまとめて書いて送れば会議で時間を取る必要はなく、また後からでも見返せる。*1

何が言いたいかはっきり言おう。 参加する会議は減らすようにすべきだという話だ。


ただ、世の常として、テキストでのコミュニケーションよりも会話でのコミュニケーションのほうが好まれる傾向にある。

顔を見て、もしくは最近は声を聞いて会議すれば、より自分の意図が伝わるらしい。 テキストを読んだり作ったりするのが苦手だから打ち合わせで話したいという意図もあるだろう。

話すことでしか伝わらないようなものは伝え方が悪いような気がしてならない。 そして、声を聞いてしか何かがわからないのであれば、このオンライン全盛期、仕事を進めていく上で大きな障害とならざるを得ない。 今すぐにでもテキストでのコミュニケーションを主要な手段とするように意識を変えたほうがよいだろう。


ただ、実際問題、印象に残るのは事実であり、顔を合わせて行う会議が消えることはない。 また、テキストはコミュニケーションのラグが許容されるが、会話は同じ時間軸で行うほかないため、コミュニケーションのラグはほぼ起こり得ない。 反応が見えて、レスポンスも早い。 そういったところが好まれるのかもしれない。

という話であれば、テキストでのコミュニケーションを行いたい人であってもそういった会議に慣れる必要はあるだろう。 どちらかに偏るよりかは、どちらも満足にできる方が仕事を進めるのが早くできるだろう。

また、会議は同じ時間軸で行う関係上、その人の活動が見えるためアピールしやすいという側面がある。 アピールを行ったほうが、昇進して、賃金が上がりやすい。 そのため、会議に慣れ、できるだけ会議中は仕事ができるように見せたほうがいいと思われる。

では、会議に慣れるにはどうすればいいのか。

そういった疑問への回答のひとつとして、タイトルにもある『会議でスマートに見せる100の方法』を紹介する。


この『会議でスマートに見せる100の方法』という本では、そのタイトル通り、会議でスマートに見せる100の方法が書いてある。

スマートに見せるという言葉に少し疑問を感じる人もいるかも知れないが、このあとすぐいくつか紹介するのでとりあえず安心してほしい。

本の中身では、いくつか状況のパートに別れて100個ある方法を紹介していくのだが、 ここで、試し読みなどで読める最初のパート「スマートに見せるための10個の主要な裏ワザ」から最初の1つ目の方法を紹介する。

「No.1 ベン図を描く」

ここで大半の人は察することができるだろう。 その認識で間違いはない。 一応、次の項目も見ておこうか。

「No.2 パーセンテージを分数に言い換える」

そう、こういった内容が100個書いてある本である。 いや、100個というと足りないかもしれない。 合間合間に役に立ちそうな、じゃなかった。参考になりそうなTIPSも書いてある。

差しイラストもいい感じに状況を描いている。 どんなときにこのテクニックを使えばいいか、イメージが湧き出てくる。


出版社はどこだろう。 早川書房である。

いつも「時間がない」あなたに 欠乏の行動経済学

スイッチ!「変われない」を変える方法

など、素晴らしい本を出している出版社である。 つまり、この本も素晴らしいというわけである。

一点だけ、この本にも欠点がある。 新型コロナ以前に書かれた本であるため、リモート会議での方法は直接的には書いてない。 そのため、対面会議での方法をリモート会議用に読み替える必要がある。

会議によく参加する人は、ぜひこの本を読んでほしい。


冗談はこれくらいにしておいて、最後に真面目な話を。

この本を読んでいると、ときどき自分が恥ずかしくなる。 48や65などは自分も(意図はしていないが)使うことがあるからである。

この本に書いてある内容は言ってみれば簡単にできる無駄なことである。 つまり、真面目な皆様は書いてある方法を行わなければ、きっと素晴らしい会議生活を送れるはずである。

この本を読むことで、仕事が進む。という話は全くないが、少なくとも読んでいなかった自分とは違う自分に変わるであろう。

きっといつか「この会議、別に時間取らなくてもよくないですか?」と勇気ある発言をできるようになるはずだ。

それではまた。

*1:もちろん、見返すことがあるのかという話は別問題だ。