レトロニム

街を歩いていたら、Uber Taxiと書いてある車を見かけた。

Uberにもタクシーがあるんだ、と最初思ったのだが、よくよく考えるとUberは元々そちらの配車サービスがメインであり、Uber Eatsはあとからできたもののはずである。

調べたところ、配車サービスのUberは2010年にサービスが開始され、Uber Eatsは2014年に開始されたものらしい。 いろいろ問題はあるにせよ、サービスの軸が複数あるのは、会社としては素晴らしいものだと思っている。

さて、Uber社の話は置いといて、今日本でUberと言ったらほぼ確実にUber Eatsの話をしていると思われるだろう。 配車サービスの方を指したいときはどう言えばいいだろうか。 車の方のUber?それともやってるサービス名称通りUber Taxi? どちらにせよ、日本においてはUberという名称そのままの呼称は使われないだろう。


こういったことを考えたときに元々は違うものの名前だったのに、新たな概念が登場し元々のものを別の言い方にするという表現を言い表した単語を思い出した。 タイトルにもある、「レトロニム」である。

ja.wikipedia.org

一覧を見ると、なかなか面白い。 わかりやすいものは、アナログであろうか。 アナログ時計、アナログ放送などは、ほぼ確実に昔は言われてなかったわけで今普通に使っているのは、冷静に考えると違和感がある。

書かれていないが、ゲームも意味が変わってしまっている気がする。 今はもうゲームと言ったらデジタルゲームが一番最初に思い浮かぶと思うが、昔はデジタルなんかなかったわけだからだ。

最近でいうと、有観客試合というのもある。 戦争をしている国同士がスポーツで戦うときなどは観客を入れない試合をする場合があり、その際に無観客試合という単語を使っていたのだが、今では観客が入れない試合がほとんどのため、逆になってしまった。

暗号なども面白い。 暗号→秘密鍵暗号→共通鍵暗号と2回も名称が変わっている。 もはや間の呼称を言う人などいないのではなかろうか。

そういえば、ボードゲームを通販で注文したときも似たような表現になる。 ボードゲームは宅配便の内容物の欄におもちゃと書かれるのだが、電池があるものを送ると爆発するといった危険性があるため、おもちゃ(非電源)と書かれている。 実際には少し違うのだが、非電源と書かれているのを見るとすこしばかり滑稽である。


Uberはレトロニムには入らないが、似たような変化の仕方であることは確実である。 取って代わられたと言ったら悲しいものではあるが、言葉は変化するものなのでこれからも様々起こり得るだろう。

アッと驚くような技術やサービスが生まれて、言葉が生まれ変わっていくのを楽しみにしていこうと思う。