『カナクのキセキ 1』

弱くて、情けなくて……それでも君にだけは嘘偽りのない僕を見て欲しかったんだ!!

魔法学校を卒業したカナクとユーリエは出発した。千年前の暁の賢者、マールが残した石碑を巡る旅をするために。


2016年最初の読書として、この本を選んだのは偶然だった。以前興味を持ったので買ったというのはいいが、積み読としてずっと放置していた。kindleをぼーっと見ていたらふと思い出したので、読んだというだけだ。

そして読み終わった瞬間、ただただ圧倒された。

この本は変則的な二部構成になっていて、一つの章ごとに「表」と「裏」がある。「表」ではカナクとユーリエの旅を描き、「裏」ではマールの旅を描く。この書き方にしていた意味は、きっと読み終えたらわかるはずだ。

ありきたりな恋愛小説と言う人もいるかもしれない。その通り、最初の会話は稚拙だし、世界観もよくあるものだ。純粋な恋が描かれていると言い換えるにしても少しばかり厳しい。ただ、心に針が突き刺さるように、最後の展開が訪れる。

カナクにとって、ユーリエは一体どんな存在だったのか。ただ憧れていただけだとしたらなぜあのような行動にでてしまうのだろうか。
そう感じた人こそ、この「カナクのキセキ」シリーズは最後まで読むべきだ。全てが繋がることだろう。そして、この世界に魅了されることだろう。