前記事では電子書籍ストアごとの比較について書きました。
本記事では、電子書籍専用端末(電子ペーパー端末)について書いていきたいと思います。
Kindle Paperwhite (ニューモデル) Wi-Fi 、キャンペーン情報つき
- 出版社/メーカー: Amazon
- 発売日: 2015/06/30
- メディア: エレクトロニクス
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電子ペーパーについて
まず、電子書籍専用端末(以下、専用端末とする)に使われている電子ペーパーについてです。
電子ペーパーとはなんでしょうか。 コトバンク(リンク)のASCII.jpデジタル用語辞典より引用すると、電子ペーパーとは
紙と同レベルの薄さや視認性を備えた表示メディアで、表示内容を書き換えられるものをいう。バックライトを使わずに表示でき、通常、画面の書き換え時にしか電力を使わないので、消費電力が少ないのが特徴。紙のように柔らかく、ある程度の折り曲げにも耐えられるものもある。電子書籍リーダーや駅構内の広告などに採用されている。
と記されています。
この電子ペーパーは、普通のパソコンなどに使われているディスプレイ*1のような表示メディアとは違い、反射光を利用している表示メディアとなっています。 また、常に電気を流している必要はなく、書き換え時に電気を使っています。
仕組みについても少しだけ触れておきます。 電子ペーパーの方式として、今最も多く使われている方式が電気泳動方式です。
第14回 読み捨て&書き換え可能な“電子紙”− 電子書籍と電子ペーパー −|テクの雑学|TDK Techno Magazine
表示原理は上のリンクを見るとわかりやすいのですが、簡単に言うと、小さいころ使った人も多いと思われる「おえかきせんせい」と似たような原理になっています*2。
- 出版社/メーカー: タカラトミー
- 発売日: 2013/03/28
- メディア: おもちゃ&ホビー
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「おえかきせんせい」、2000万個も売り上げているのもすごいですが、今では2色使えるようになっているんですね……時代は進んでる…。
今の売り上げはどうなんでしょうかね。Androidタブレットなど、綺麗で安価なライバルが出てきているのでかなり落ち込んでいるような気がしますが。
話が脱線してしまいました。
この電子ペーパーは1970年に米国ゼロックス社のニック・シェリドンが開発しました*3。そこから様々な改良が重ねられ、今に至っています。
たくさんある電子ペーパーを開発する企業の内、電子書籍環境で最も使われているのがE-ink社のE-inkです。 Amazonのkindle*4、B&NのNook*5、楽天のKobo*6やSonyのReader*7など確認出来るだけでもたくさん使われています。
電子書籍専用端末
まず、次の表を見て下さい。電子書籍ストアごとの専用端末の有無の表となっています。
kindle | kobo | eBookJapan | BookLive! | Book☆Walker | Reader |
---|---|---|---|---|---|
◯ | ◯ | ✕ | △*8 | ✕ | △*9 |
この表を見ればわかるように、多くの電子書籍ストアでは、新しい専用端末を発売していません。 Kindleやkoboといった大きな電子書籍ストアでは今でも新製品の発売が続いています*10。
それでは、この点をふまえて専用端末のメリット・デメリットについて書いていきます。 比較対象は専用端末・タブレットやスマートフォン・本です。 メリット、デメリットそれぞれの比較の表では、いいところから順に◯->△->✕としています。
メリット
目の疲労感が少ない
専用端末 | タブレット | 紙の本 |
---|---|---|
◯ | ✕ | ◯ |
まずはこのメリットですね。 パソコンやタブレットとは違いディスプレイが電子ペーパーになっているため、紙を読んでいるような感覚になります。 もちろん、ずっと見続けていればどんなものを見ていても疲れてしまいますが、液晶を見ているよりは遥かに疲れません。
寝落ちしても大丈夫
専用端末 | タブレット | 紙の本 |
---|---|---|
◯ | ◯ | ✕ |
専用端末では、寝落ちしてもそのページのまま画面がオフになります。 そのため、寝落ちしても全く問題ありません。 タブレットも同様に最後に見ていたページのままです。 しかし、紙の本の場合には閉じてしまうことが多いので、寝る前に読んだところをもう一度探さなくてはなりません。
軽い
専用端末 | タブレット | 紙の本 |
---|---|---|
◯ | ◯ | ✕ |
どんな本を読んでいても、電子書籍はデータなので専用端末の重さは変わりません。 一方で紙の本はどうでしょうか。 文庫本ならまだしも、ハードカバーの本などを読むときには重さがかなり読書に影響します。
片手で持てる
専用端末 | タブレット | 紙の本 |
---|---|---|
◯ | ◯ | ✕ |
上の軽いに関連したメリットですが、片手で持つことができます。 タブレットも同様ですが、紙の本は違いますね。開いて持った場合、ページをめくる動作が困難になりますが、専用端末やタブレットでは画面をタッチし、ページ移動すができます。 これは電車内で立ちながら読む時などに非常に便利です。
バッテリーの影響
専用端末 | タブレット | 紙の本 |
---|---|---|
◯ | ✕ | ◯ |
紙の本にはバッテリーなどないので全く影響はありませんが、専用端末は、ページめくるときに少しの電力をつかうだけとなっています。 そのため、毎日使っていても2週間ほど、使わない日もあると思うのでおおよそ1ヶ月はまず間違いなく充電はしなくても大丈夫です。 タブレットではそうはいきませんね。 毎日充電する必要があるのではないでしょうか。
暗いところでも読める
専用端末 | タブレット | 紙の本 |
---|---|---|
◯*11 | ◯ | ✕ |
あまり健康にはよくありませんが、暗いところで本をよむときや、上を向きながら本を読むときなどには電子書籍は大活躍します。 バックライトがある専用端末に限ります*12が、どんな環境でも全く問題なく本を読むことができます。 紙の本にはできない点です。
本がかさばらない
専用端末 | タブレット | 紙の本 |
---|---|---|
◯ | ◯ | ✕ |
本を買えば買うほど本棚が埋まっていく経験はあるでしょうか? 本が増えて本棚が埋まると嬉しい人もいるとは思いますが、整理や掃除をするときに邪魔になったり、処分するときに大変だったりすると思います。 電子書籍を使う、専用端末やタブレットの場合にはそのような事態には陥りません。 本を読みたいときには端末を開くだけで好きな本を読むことができます。
その他
専用端末には限らない、電子書籍のメリットなども書いてある以下の記事もあわせて参照してください。
デメリット
カラーイラストが見られない
専用端末 | タブレット | 紙の本 |
---|---|---|
✕ | ◯ | ◯ |
専用端末は今*13のところはカラー電子ペーパー*14を使ったものが製品化されてないため、カラーイラストをカラーのまま見ることはできません。(白黒でみることはできます) 電子書籍は一度買うと専用端末でもタブレットなどでもどちらでも見ることができるため、紙の本に比べ電子書籍に問題があるわけではありませんが、専用端末では無理です。
ページめくりのスピード
専用端末 | タブレット | 紙の本 |
---|---|---|
✕ | △ | ◯ |
端末によりますが、電子ペーパーを使っている本は少しスピードが遅いです。 普通に読む分には(ぼくは)まったく気にならないのですが、ずっと読んでいるときや速読をしている場合には遅いと感じることがあると思います。 ずっと読んでいるときには再起動をすると軽くなります。 アプリによってはタブレットなどでもページめくりが遅いと感じる人もいるのではないでしょうか。 その点についても紙の本はいいですね。
容量
専用端末 | タブレット | 紙の本 |
---|---|---|
△ | △ | ✕ |
メリットの、本がかさばらないに関連しているものですが、専用端末やタブレットには容量の制限があります。 購入した本のデータはクラウドで管理されてるものが多いため、なくならないわけではありませんが、本を読む場合には専用端末やタブレットにダウンロードをしてから読むようになります。 紙の本は、そもそも1冊には1冊の本の内容しか入っていないため、容量の問題は対象外ですね。
初期費用がいる
専用端末 | タブレット | 紙の本 |
---|---|---|
✕ | △ | ◯ |
本を読むためだけに、わざわざお金を払って端末を買わなくてはいけないという大きなデメリットがあります。 ぼくはKindle Paperwhite(2013)キャンペーン情報なしとカバーをセットで買ったのですが、合計で14,000円でした*15。 今のKindle Paperwhiteだと、キャンペーン情報つきでもそれ以上の値段になります。 上位機種のKindle Voyageとなるとそれ以上の値段となります*16。 更に上位機種のKindle Oasisに至っては、PS4やiPad miniなどが買える値段です*17。 kobo glo HDや kobo aura H2Oでも10,000円以上はかかりますね*18。 タブレットなどはもともと持っている人が多いため大きく関わってくることはありませんし、紙の本は必要ありません。
いくら電子書籍は紙の本よりは安く、セールも行うことが多いとはいえ、お得に本を読むためには、電子書籍にどっぷり浸かり多くの本を電子書籍で買わなくてはなりません。 そのため、食指が動きにくいのではないでしょうか。
ページ移動が思い通りにならない
専用端末 | タブレット | 紙の本 |
---|---|---|
✕ | △ | ◯ |
専用端末やタブレットでは、画面をタッチするとすぐ次のページに移動してしまいます。 文字をなぞりながら読む人からすると大問題です。意図しないところで触るだけでページが次に進んでしまうので、ストレスがたまることもあると思います。
画面の大きさが固定
専用端末 | タブレット | 紙の本 |
---|---|---|
✕ | △ | ◯ |
紙の本など、作者が思う本の大きさがあります。 その本の大きさに応じて、ページ配置や文字配置をしている本も多いのではないかと思います。 一方で、今ある専用端末の画面の大きさはほぼすべて6インチとなっています。 そのため、専用端末では意図しない文字配置になることもあります。 文字の大きさを変えるのはできますが、この問題は大きいでしょう。
まとめ
みなさんは本を読みますか? ぼくは寝転がりながら本を読むことが多く、Kindle Paperwhiteを購入してから寝転がって本を読むことが更に楽になりました。 また、暇なときもKindle Paperwhiteだけを持っていくことで十分過ぎるほど時間を潰すことができます。
上に列挙したメリット・デメリットを比較しても、ぼくは電子書籍専用端末を買ってとてもよかったと思っています。
電子書籍はセールをよく行っています。 セール対象の本を見ているうちに様々な本と出会えました。 もともと本を読むことが好きで図書館にも通っていましたが、Kindleを買ってからは読書量が更に増えました。 本をあまり読まない人や、本は読むけど電子書籍はちょっと…といった人にも、ぜひ電子書籍を一度手にとっていただければと思います。(青空文庫の無料の本もあります!)
電子書籍と紙の本、どちらも賢く使い分けてよりよい読書生活を!
これで最終のようなまとめになってしまいましたが、もう少し書こうかなと思っています。
次は電子書籍のこれまで、いま、これから。
では、また。
*1:TN方式やIPS方式など
*2:あの素晴しいトイをもう一度 (3) せんせい(1) - あの魔法のスクリーンの種明かし | マイナビニュース
*3:https://www.jstage.jst.go.jp/article/nig/44/5/44_5_257/_pdf
*4:Kindle - 気軽に始める電子書籍体験: Amazon.co.jp
*5:NOOK GlowLight Plus by Barnes & Noble | 9781400697564 | NOOK | Barnes & Noble
*6:楽天Kobo電子書籍ストア:超高画質Kobo Glo HDいつでもどこでも
*8:2012年発売
*9:2013年発売
*10:2016/4/13にkindleの新世代であるKindle Oasisが予約可能になりました
*11:できない機種もある
*12:今は大体の専用端末にはバックライトがついている
*13:2016年
*14:Kindleのカラー化は可能か? カラー電子ペーパーの現状 | ライフハッカー[日本版]
*15:本を買うギフト券2,000円分がついていたので、実質12,000円です。
*16:Kindle Voyage - 至福の読書体験を追及して作りこんだ電子書籍リーダー