『君に恋をするなんて、ありえないはずだった』

このまま、手をつなぐぐらいは許されるだろうか。

冴えない眼鏡の男の子と、派手な美少女。 普通に過ごしているだけでは絶対に相容れなかった。 不器用な二人のすれ違い。


ぼくが2018年に読んだ本でランキングをつけていたら、この本と、この本の続編である『君に恋をするなんて、ありえないはずだった そして、卒業』を1位につけていたと思う。 2020年の今、また読みたくなってしまって、また読んで良かったと思えた。 そんな作品。

以下、若干の感想とネタバレあり。

舞台は房総半島。 勉強合宿というなにかが起こりそうな場所で、ふとしたきっかけから、ありえなかった交流が生まれる。 物語は、主人公たち二人のそれぞれの心を描写する視点が揺れ動きながら進んでいく。 相手のことを理解していくにつれて、少しずつ惹かれていく二人に最初はニヤニヤが止まらない。

週一の帰り道を待ち望んでいる二人をみているだけで、この時間がずっと続いてほしいとさえ思えてくる。 イベントが起きるたびに、関係が進展しないかなと歯痒い気持ちにさえなってしまう。

しかし、現実も、この世界も、残酷という点では対して大きな違いはない。 不器用な二人を繋いでいた糸は、その不器用さのせいで、プッツリと切れてしまう。 悪気のない分、容赦もない。 ただただ、残酷だ。

しかし、それでは終わらない。 先に述べたように、この本は続き物である。 この本だけで消化不良になるかもしれない。 だからこそ、続編も一緒に読むことをおすすめする。 きっと、魂が昇華されるはずだから。