そのときのメンタルによって作品への印象は変わる。

漫画を読むときや映画を見るとき、そのときのメンタルによって楽しめる作品と楽しめない作品があると思っている。

どんなに自分が好きな作品であっても、その作品を楽しめないメンタル状況にいるときは、つまらない作品だなと思ってしまう。 読み始めたり見始めたりしないとその作品に合っているメンタルかどうかはわからないので、言ってみればギャンブルみたいなものだ。

もちろん、前作や前巻を何度か読んでいたり、色んな人からおすすめされて面白さが保証されている作品なら一度やめて次のタイミングで、という選択肢は取れそうだ。 しかし、初めて見る作家や初めて見る作品だったらどうであろうか。

自分はあんまりおもしろくなかったなと思ってそれを楽しめないまま終わってしまう気がしてならない。 タイミングだけで作品を最大限楽しめなくなるのはとてももったいない。

なので、自分はできるだけ、一度読み始めたときに微妙だな、と思ったら、かならず一度閉じたりやめたりして次の機会を窺うことにしている。 その作品をできるだけでも楽しめるようにするぞ、という心持ち、そして、他の選択肢(積ん読)がたくさんあるぞという事実がそれを可能にしている気がする。

だからといって、途中で辞めることができない作品もある。 たとえば、映画を映画館で見ること。 これは、一度見始めたら2時間ほどほかの誘惑から断絶されて映画だけに集中できるような状態になるが、メンタルが合っていない状態で見に行くと2時間大きな印象が生まれないまま終わってしまう。

そうなってしまったら、ある意味拷問のようなかたちで2時間無駄にしたという印象になってしまうため、人はその映画に悪い評価をつけてしまうのは確実である。 なので、自分は映画の感想はあまり人の話を参考にしないようにしている。 まあ、映画じゃない作品の感想を参考にしているかというと嘘になるのだが。

また、自分は映画を見る前はできるだけその映画が楽しめるようにコンディションを整えている。 睡眠を十分に取ったり、空腹を満たしたり、似たようなジャンルの作品を流してその気分にさせたりといったものだ。 効果があるのかは不明だが、映画微妙だったなと思ったことが実感として少ないんじゃないかと思っている。

自分は、完璧な作品なんてこの世にあるわけがないと思っている。 どんな作品にも微妙だなと思うことはきっとあるはずである。 だが、誰かが微妙だなと思ったことでも、別の視点から見ればよかったという評価をする人もいるだろう。 この作品のコメディ面が優秀だという人がいれば、薄っぺらくて嫌いという人がいるみたいに。

大切なのは、その作品の良いところに浸り、作品と出会えて良かったと思うことだと思う。 良いところを得るために必要な準備が大変だとしても、それを超えた先にはきっと素晴らしい体験が待っているはずだから、これからも怠らずやっていきたい。